半世紀遅れた肉感、斬新な諧謔。

読書録 気が向いたら読む 気が向いたら書く 量より質

秘密/谷崎潤一郎

 

秘密は秘密のままが好い

 

主人公(男)は女装にハマり、外出先で昔捨てた女と偶然再会。

船の上で知り合った名前も知らない女。

その女との逢瀬がまた始まる。もちろん女がどこの誰かはわからない。

 

ブンゴウメールで読み始め、月末に乙女の本棚でマツオヒロミさんの絵で出たので即買い。ありきたりな感想だけど、もうひたすら絵が美しい。

 どこの誰かわからない女との逢瀬に溺れる男だけど、そのうち女の素性が気になって……。

秘密は秘密のままの方が背徳感というか謎めいていて楽しいと思うのだけど、主人公はそうは思わないのよね。 

何卒そんな我が儘を云わないで下さい。此処の往来はあたしの秘密です。この秘密を知られればあたしはあなたに捨てられるかも知れません。

 

ネタバレすると最終的に男は女を捨てるんだけど、目線を変えたら女が無粋な男を捨てたのかもしれない。とも思える。

いやしかし昔自分を振った男が女装している時点でツッコミ入れようよ。

 

乙女の本棚で脳内補完するまでは、女装した大谷崎が頭をちらついて困りましたw

谷崎さんのことだから、女装した男と名も知らぬ女王様。みたいな女の話なのかなと思っていたのですが、そんなことはありませんでしたよ。