半世紀遅れた肉感、斬新な諧謔。

読書録 気が向いたら読む 気が向いたら書く 量より質

小説

受難華/菊池寛

大正乙女3人の恋愛と結婚 海外に留学する婚約者と秘密の結婚をする照子。妻子ある人に恋しながらも家の事情で違う男と結婚する寿美子。結婚後に夫の過去を知る桂子。女学校の仲良し三人娘の恋愛と結婚。とても内容が昼ドラ。1年間ほどの話なんだけど展開が早…

だしの取り方/北大路魯山人

弘法は筆を選ばずというが、道具は大事 名前は知っていたけど、美食家としてか知らなかった魯山人さん。 青空文庫で短編をちょこちょこ読んでるけど面白い。 出汁のとり方では鰹節も大事だけど、削るための鉋が大事とおっしゃっている。 削り下手なかつおぶ…

微笑/横光利一

確かなのは彼の笑顔 大戦末期、主人公 梶が知り合った若き天才数学者 栖方は殺人光線を開発しているという。周りは彼を狂人だというが。 序盤で、栖方の言っている殺人光線が事実かホラか判りかねる所が、なんともいえない不気味さを漂よわせているけど、所…

変な音/夏目漱石

病院で聞こえるさまざまな音 入院した夏目先生の実体験か創作かは置いといて、ぞわっとさせておいて最後は綺麗にまとまっている短編。 隣の病室(といっても建物は日本家屋の和室)から聞こえる、大根か何かをおろし金で下ろす様な音。 何かを確かめずに退院…

秘密/谷崎潤一郎

秘密は秘密のままが好い 主人公(男)は女装にハマり、外出先で昔捨てた女と偶然再会。 船の上で知り合った名前も知らない女。 その女との逢瀬がまた始まる。もちろん女がどこの誰かはわからない。 ブンゴウメールで読み始め、月末に乙女の本棚でマツオヒロ…

黄村先生言行録/太宰治

オオサンショウウオ可愛いけど、よく見ると怖い 主人公の先生はいまいち風流を理解しない人だけど、ある日突然オオサンショウウオの魅力に取り憑かれ、飼いたいと思い始める。 「神よ、私はただ、大きい山椒魚を見たいのです、人間、大きいものを見たいとい…

淫売婦/葉山嘉樹

絶対あの一文を書きたかったんだろうな 読んでいると作者はこの部分が書きたかったんだなってわかる時がある。 『春は馬車に乗って』の春を撒き撒き~とか、『人間失格』の恥の多い~とか。 これもその一つ。別にわかっても良いんだよ。面白ければ。 プロレ…