半世紀遅れた肉感、斬新な諧謔。

読書録 気が向いたら読む 気が向いたら書く 量より質

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

変な音/夏目漱石

病院で聞こえるさまざまな音 入院した夏目先生の実体験か創作かは置いといて、ぞわっとさせておいて最後は綺麗にまとまっている短編。 隣の病室(といっても建物は日本家屋の和室)から聞こえる、大根か何かをおろし金で下ろす様な音。 何かを確かめずに退院…

秘密/谷崎潤一郎

秘密は秘密のままが好い 主人公(男)は女装にハマり、外出先で昔捨てた女と偶然再会。 船の上で知り合った名前も知らない女。 その女との逢瀬がまた始まる。もちろん女がどこの誰かはわからない。 ブンゴウメールで読み始め、月末に乙女の本棚でマツオヒロ…

黄村先生言行録/太宰治

オオサンショウウオ可愛いけど、よく見ると怖い 主人公の先生はいまいち風流を理解しない人だけど、ある日突然オオサンショウウオの魅力に取り憑かれ、飼いたいと思い始める。 「神よ、私はただ、大きい山椒魚を見たいのです、人間、大きいものを見たいとい…

淫売婦/葉山嘉樹

絶対あの一文を書きたかったんだろうな 読んでいると作者はこの部分が書きたかったんだなってわかる時がある。 『春は馬車に乗って』の春を撒き撒き~とか、『人間失格』の恥の多い~とか。 これもその一つ。別にわかっても良いんだよ。面白ければ。 プロレ…

改訂版 こんちゅう稼業/秋山あゆ子

じんわりくる虫たち 作者のTwitterで拝見した、ドレス姿の昆虫の絵がとても素敵で購入した1冊。 表紙、カバー下にはいろんな職業に扮した虫たちだけど、内容は様々。虫の擬人化だったり、虫そのものだったり。 今どきのデジタル素材をつなぎ合わせたような絵…